大コレクター Charles Saatchi

「アーティストは生産者であり、世界的なアートの取引の源泉である。 アート界のすべてのネットワークはアーティストによって生かされている。」

著者は、今のアーティストの立場をこう語っています。 しかし、アーティストが自身の作品を売り出してもらうには、このネットワークを構成する面々に認めてもらう必要があるとも語っています。アーティストは支配者ではなく、捕虜なのだそうです。

NY近代美術館の初代館長のアルフレッド・バーは 〇アーティストは自由に生き、自由に仕事をしなければならない。 〇改革者は、大衆の無関心や不寛容、高位な立場の人からの無理解、保守的なアーティストからの皮肉、批評家の怠慢、買い手の無分別や優柔不断に立ち向かわなければならない。 との考えを示しています。

アーティストは、孤独な戦士なのですね。あらゆることを考えて、自分の力で判断して見極めて行動していかないと、ただの捕虜として都合のいいように消費されて終わってしまいます。そうならないように、仕組みを知って、戦わなければ・・・!

しかし、パリ市立近代美術館の館長、ファブリス・エルゴは 名のあるアーティストは、まわりにそれを支える一群がいると語っています。 アーティストは孤独な戦士ではありますが、様々な人々に支えられているんですね。

そして、今日のメインは、チャールズ・サーチです!!!

イギリスのメガコレクターで、アート界で最も注目される10人に入る重要人物です! もともとは広告業界のキャリアを持っていました。そして、1970年に独立して広告代理店「サーチ&サーチ」を設立しました。サーチは、1985年にはコレクターとして作品を購入するようになります。広告界はこのとき引退しました。最初はミニマル・アートを購入、そしてラリー・ガゴシアンの助言を受けポップ・アートを購入するようになり、だんだんコレクター兼画商として力をつけていきます。

そして、イギリスで現代アートの個人ギャラリーをオープンした初めての人物になりました。

1990年代に、ダミアン・ハーストを発掘したのが、彼を一躍アート界のトップとしての地位を確立させました。ハーストは、超有名なゴールド・スミス・カレッジの出身です。学生の時から仲間たちとグループ展を開き、アート界の重要人物の目を引こうと活動していました。このころに、サーチと出会います。

そして、サーチはハーストを含む挑発的なアーティストたちの一団を、ヤング・ブリティッシュ・アーティスト(YBAs)と名付け売り出しました。サーチは広告業界でキャリアを積んできた経験を活かし、その時に使っていたマーケティング手法を駆使して彼らを売り出したのです。 そして、ハーストは1995年にターナー賞を受賞しました。イギリスの現代アートの最高褒美と言われている有名な賞です。私が生まれてまだ間もない頃のことですよ。もう20年以上も前の出来事なんですね。

彼らは宣伝されることを望み、思い通りになった。 と、美術評論家のジェフリー・ホグリフは言います。

サーチは、2007年には放送局と組んで「4ニュー・センセーションズ」という賞を創設したり、世界中のアーティストが自作を披露できるサイトを開設しました。ギャラリーに扱ってもらえない全ての人のための場だとしており、手数料は不要なので、登録者は増加する一方。しかし、サーチはすべてをチェックしています。すごいですね。

2009年には放送局BBC2と共同で「スクール・オブ・サーチ」というアーティスト発掘番組をつくっています。日本ではこんな番組はないですよね。エンターテインメントの場にアートが入り込む隙がないですもんね。アートが紹介されたりすることはありますが。こういった場合、だいたいは有名なアーティスト、若いアーティストを紹介したとしてもエンターテイメント性もしくはデザイン寄りの作品だったり。エンターテイメントをアートが支配するのではなく、エンターテイメントの中に少しアートも入れてくれませんかって控えめな感じがあります。

〈キーワード〉 ●パリ市立近代美術館 ●NY近代美術館:通称、MoMA。 ●フランス芸術協会 ●全米芸術基金 ●『アート・ニュースペーパー』 ●ダミアン・ハースト:アーティスト。 ●ヤング・ブリティッシュ・アーティスト(YBAs):1960年代に生まれたアーティストの集団。画布や絵の具を使わず、さまざまな素材でインスタレーションを行った。 ●ジェイク&ディノス・チャップマン:YBAsのアーティスト。代表作《ファック・フェイス》。 ●トレイシー・エミン:YBAsのアーティスト。 ●ブルックリン美術館 ●クリス・オフィリ:ナイジェリア系イギリス人アーティスト。 ●ジェフ・クーンズ:アメリカのアーティスト。 ●4 ニュー・センセーションズ:サーチがイギリスの放送局チャンネル4と組んだ、イギリスの美術学校卒業生のうち優秀な4人に贈られる賞。

〈重要人物〉 ●アルフレッド・バー:MoMAの初代館長。 ●ファブリス・エルゴ:パリ市立近代美術館の館長。 ○谷口吉生:2004年にMoMAを改装。 ○グレン・D・ローリー:1995年からのMoMAの館長。『アート・レビュー』誌で2009年には2位に輝いた。 ○クラウス・ビーゼンバック:MoMAのキュレーター。『アート・レビュー』誌で2014年に27位い輝いた。 ◎チャールズ・サーチ ●ドリス・ロックハート:アメリカ人の美術評論家。サーチの最初の妻。 ●ラリー・ガゴシアン:ギャラリスト。 ●ジョージナ・アダム:『アート・ニュースペーパー』誌の記者。 ●ジェフリー・ホグリフ:美術評論家。 ●スティーヴン・A・コーエン:米大手ヘッジファンドの創業者。コレクター。 ●ホセ・ムグラビ:イスラエルの実業家。コレクター。 ●アビー・ローゼン:ドイツ人投資家。コレクター。 ●李 健煕(イ・ゴンヒ):韓国のサムスン電子会長。コレクター。

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